緑のまちづくり条例
名古屋市ホームページより

○緑のまちづくり条例

平成17年3月29日
名古屋市条例第39号

名古屋市緑化推進条例(昭和53年名古屋市条例第15号)の全部を改正する。

目次
第 1 章 総則(第 1 条-第 5 条)
第 2 章 緑のまちづくり基本方針(第 6 条)
第 3 章 緑の基本計画(第 7 条)
第 4 章 緑の保全に関する施策
第 1 節 緑地保全地域等の活用(第 8 条・第 9 条)
第 2 節 市民緑地の設置(第10条-第14条)
第 3 節 保存樹木等の指定(第15条-第18条)
第 4 節 農地の保全(第19条・第20条)
第 5 節 その他の施策(第21条・第22条)
第 5 章 緑の創出に関する施策
第 1 節 施設等の緑化(第23条-第26条)
第 2 節 緑と花の景観地域の指定等(第27条-第30条)
第 6 章 市民等との協働による緑のまちづくり
第 1 節 市民等との協働(第31条-第37条)
第 2 節 緑地管理機構(第38条)
第 3 節 緑化基金(第39条)
第 7 章 緑の審議会(第40条-第43条)
第 8 章 雑則(第44条-第46条)
第 9 章 罰則(第47条)
附則

第1章 総則

(目的)
第 1 条 この条例は、緑の保全及び創出について、市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、緑の保全及び創出に関する施策の基本となる事項を定め、緑の保全及び創出に関する施策を総合的かつ計画的に推進することにより、緑あふれる良好な都市環境の形成を図り、もって現在及び将来の市民の健康で快適な生活の確保に寄与することを目的とする。
(定義)
第 2 条 この条例において「緑」とは、樹木、草花等の植物、樹林地、水辺地、農地等の自然的環境を有する土地及び空間並びに動植物の生育基盤である土、水等の自然の要素をいう。
(市の責務)
第 3 条 市は、緑の保全及び創出に関する基本的かつ総合的な施策(以下「緑のまちづくり施策」という。)を策定し、実施するものとする。
2  市は、緑のまちづくり施策を実施するため、必要な体制を整備するものとする。
(市民の責務)
第 4 条 市民は、自ら緑の保全及び創出に努めるとともに、市が実施する緑のまちづくり施策に協力しなければならない。
(事業者の責務)
第 5 条 事業者は、事業活動の実施に当たって緑の保全及び創出に必要な措置を講ずるとともに、市が実施する緑のまちづくり施策に協力しなければならない。

第2章 緑のまちづくり基本方針

第 6 条 緑のまちづくり施策の策定及び実施は、次に掲げる事項を基本的な方針として行うものとする。
(1) 緑あふれる良好な都市環境を形成し、市民に憩いとやすらぎを与えるため、緑の量の確保及び質の向上を図ること。
(2) 河川、街路樹、公園などの相互間において、緑のネットワークの形成を図ること。
(3) 歴史的景観を形成している緑及び伝統的又は文化的意義を有する緑の保全を図り、次世代に継承すること。
(4) 良好な自然環境の維持に寄与する農地の保全を図ること。
(5) 緑の保全及び創出に欠くことができない水循環機能の保全を図ること。
(6) 緑の保全及び創出に関する活動を促進するため、市民及び事業者との連携及び協働を図ること。
(7) 緑を有する自然環境を、環境の保全に関する教育及び学習の場として活用を図ること。

第3章 緑の基本計画

第 7 条 市長は、緑の保全及び創出を図るため、都市緑地法(昭和48年法律第72号。以下「法」という。)第 4 条第 1 項に規定する基本計画として、名古屋市緑の基本計画(以下「緑の基本計画」という。)を策定するものとする。
2  市長は、緑の基本計画を策定しようとするときは、あらかじめ、市民の意見を反映することができるように必要な措置を講ずるとともに、第40条に規定する名古屋市緑の審議会の意見を聴かなければならない。
3  市長は、緑の基本計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
4  前 2 項の規定は、緑の基本計画の変更について準用する。

第4章 緑の保全に関する施策

第 1 節 緑地保全地域等の活用

(緑地保全地域等の活用)
第 8 条 市長は、法第 5 条に規定する緑地保全地域、法第12条第 1 項に規定する特別緑地保全地区及び都市計画法(昭和43年法律第 100 号)第 8 条第 1 項第 7 号に規定する風致地区の活用を図るよう努めるものとする。
(緑地保全地域等に関する支援)
第 9 条 市長は、規則で定めるところにより、前条の緑地保全地域及び特別緑地保全地区に係る土地の所有者又は管理者に対し、必要な支援を行うことができる。

第 2 節 市民緑地の設置

(市民緑地の設置)
第10条 市は、法第55条第 1 項及び第 2 項の規定による市民緑地の設置に努めるものとする。
(行為の禁止)
第11条 市民緑地において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) たき火その他の火気の使用をすること。
(2) 植物を傷つけ、伐採し、又は採取すること。
(3) 土石、竹木等の物件をたい積すること。
(4) 土地の形質を変更し、又は土石を採取すること。
(5) 鳥獣及び魚の類を捕獲し、又は殺傷すること。
(6) 立入りを禁止されている区域に立ち入ること。
(7) 車両を乗り入れること。
(8) その他市民緑地の利用又は管理に支障があると認められる行為をすること。
(適用除外)
第12条 次に掲げる行為については、前条の規定は適用しない。
(1) 第33条第 2 項の規定による承認を受けて行う行為
(2) 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
(3) 市民緑地に係る土地等の所有者が市長の承認を受けて行う行為
(4) 公益性の高い事業に係る行為で市長が認めるもの
(利用の禁止又は制限)
第13条 市長は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、区域を定めて市民緑地の全部又は一部の利用を禁止し、又は制限することができる。
(1) 市民緑地の損壊その他の理由によりその利用が危険であるとき。
(2) 市民緑地に関する工事のためやむを得ない必要が生じたとき。
(3) その他市民緑地の保全又は利用に著しい支障が生じたとき。
(措置命令)
第14条 市長は、第11条各号に掲げる行為をした者に対し、当該行為の中止、原状回復又は市民緑地からの退去を命ずることができる。

第 3 節 保存樹木等の指定

(保存樹木等の指定)
第15条 市長は、都市の美観風致を維持するため必要があると認めるときは、規則で定めるところにより、樹木又は樹木の集団をその所有者の同意を得て、 保存樹木又は保存樹林(以下「保存樹木等」という。)として指定することができる。
2  市長は、次の各号のいずれかに該当するときは、前項に規定する保存樹木等の指定を解除するものとする。
(1) 保存樹木等の滅失、枯死等によりその保存を図ることができなくなったとき。
(2) 公益上の理由その他特別の理由があるとき。
3  市長は、第 1 項に規定する保存樹木等の指定をしたときは、規則で定めるところにより、これを表示する標識を設置しなければならない。
(保存樹木等の所有者の義務)
第16条 保存樹木等の所有者は、保存樹木等について、枯損の防止その他その保存に努めなければならない。
2  保存樹木等について次の各号のいずれかに該当する事由が発生したときは、その所有者(第 1 号に該当する場合にあっては、新たに所有者となった者)は、遅滞なく、その旨を届け出なければならない。
(1) 所有者が変更したとき。
(2) 滅失し、又は枯死したとき。
(保存樹木等に関する支援)
第17条 市長は、保存樹木等の所有者に対し、保存樹木等の保存に関し必要な助言又は指導を行うことができる。
2  市長は、規則で定めるところにより、第15条第 1 項の規定により指定した保存樹木等及び都市の美観風致を維持するための樹木の保存に関する法律(昭和37年法律第 142 号)第 2 条第 1 項の規定により指定した保存樹又は保存樹林を良好な状態に保存している所有者に対し、その保存に要する費用の一部を助成することができる。
(樹木の移植)
第18条 市長は、本市域内に存する樹木で伐採が予定されているものについて、所有者から寄附の申出があったときは、別に市長が定めるところにより、当該樹木を公園その他市長が適当と認める場所に移植することができる。

第 4 節 農地の保全

(農地の保全)
第19条 市及び農業者(農業者が組織する団体を含む。以下同じ。)は、良好な都市環境の維持を図るため、本市域内に存する農地の保全及び活用に努めるものとする。
(農業とのふれあいの場の提供)
第20条 市及び農業者は、市民の間に広く都市農業についての関心及び理解を深めるため、市民と農業とのふれあいの場の提供に努めるものとする。

第 5 節 その他の施策

(湧水地等の保全)
第21条 市、市民及び事業者は、自然の水循環機能の維持を図るため、湧水地及び当該湧水地をかん養する周辺の樹林地並びにため池の保全に配慮するものとする。
(野生動植物の生息地等の保全)
第22条 市、市民及び事業者は、絶滅のおそれのある野生動植物の生息地及び生育地の保全に配慮するものとする。

第5章 緑の創出に関する施策

第 1 節 施設等の緑化

(緑化地域の活用)
第23条 市長は、法第34条第 1 項に規定する緑化地域の活用を図るよう努めるものとする。
(施設等の緑化)
第24条 市は、市が設置し、又は管理する道路、河川、公園、庁舎等の公共用又は公用の施設の緑化に努めるものとする。
2  市民は、自ら居住する住まいの緑化に努めなければならない。
3  事業者は、工場又は事業場の緑化に努めなければならない。
第25条 市及び事業者は、庁舎等及び工場又は事業場(以下「施設等」という。)の新築、増築又は改築をしようとするときは、規則で定めるところにより、当該施設等の敷地内の緑化をしなければならない。
第26条 前条の規定による緑化を行おうとする事業者は、規則で定めるところにより、当該緑化に関する計画について、あらかじめ市長と協議しなければならない。ただし、当該緑化に係る施設等の敷地面積が規則で定める規模に満たない場合は、この限りでない。
2  前項の緑化に関する計画を実施した事業者は、遅滞なく、報告書を作成し、市長に提出しなければならない。

第 2 節 緑と花の景観地域の指定等

(緑と花の景観地域の指定)
第27条 市長は、市民及び事業者と一体となって緑あふれる景観の創出を図る必要があると認める地域を緑と花の景観地域として指定することができる。
(緑地協定の締結の促進)
第28条 市長は、法第45条第 1 項に規定する緑地協定の締結の促進に努めるものとする。
(緑と花の協定の締結の促進)
第29条 市長は、市街地の良好な環境を確保するため、次に掲げる者相互の間における樹木、草花等の植栽又は維持保全に関する協定(以下「緑と花の協定」という。)の締結の促進に努めるものとする。
(1) 相当規模の一団の土地又は道路、河川等に隣接する相当区間にわたる土地(これらの土地のうち、公共施設の用に供する土地その他の規則で定める土地を除く。)及び当該土地に存する建築物その他の工作物(以下「建築物等」という。)の所有者その他当該土地又は建築物等の使用に関する権原を有する者
(2) 相当規模の中高層住宅の所有者その他当該中高層住宅の使用に関する権原を有する者
(緑と花の景観地域等に関する支援)
第30条 市長は、第27条の規定により緑と花の景観地域を指定したとき、法第47条第 1 項又は法第54条第 2 項の規定により緑地協定を認可したとき及び緑と花の協定が規則で定める基準に適合していると認めたときは、規則で定めるところにより、必要な支援を行うことができる。

第6章 市民等との協働による緑のまちづくり

第 1 節 市民等との協働

(市民等との協働)
第31条 市、市民及び事業者は、相互の連携及び協働により緑あふれるまちづくりを実践する活動(以下「緑のまちづくり活動」という。)の促進に努めるものとする。
(人材の育成)
第32条 市長は、緑のまちづくり活動において、中心的な役割を担う人材の育成に努めるものとする。
(緑のまちづくり活動団体の認定等)
第33条 市長は、規則で定めるところにより、市の管理する公園、街路樹等を愛護する活動を行うことを目的として組織された団体を公園愛護会又は街路樹愛護会として認定することができる。
2  市長は、前項に規定する公園愛護会又は街路樹愛護会とは別に、規則で定めるところにより、市民又は事業者が組織する団体が市の管理する公園、街路樹等に係る緑のまちづくり活動を行うことを承認することができる。
3  市長は、前 2 項の規定による認定又は承認に際して、緑のまちづくり活動が適切に行われるよう必要な条件を付けることができる。
第34条 市長は、規則で定めるところにより、前条第 1 項の規定による認定を受けた公園愛護会又は街路樹愛護会及び同条第 2 項の規定による活動の承認を受けた団体(以下「愛護会等」という。)のうちから、市との連携及び協働がさらに必要とされる緑のまちづくり活動を行おうとする団体を緑のパートナーとして認定することができる。
2  市長は、前項の規定による認定に当たっては、当該認定をしようとする愛護会等と緑のまちづくり活動に関する協定を締結するものとする。
(緑のまちづくり活動団体に関する支援)
第35条 市長は、規則で定めるところにより、愛護会等及び前条第 1 項の規定による認定を受けた緑のパートナー(以下「緑のまちづくり活動団体」という。)に対し、必要な支援を行うことができる。
(緑のまちづくり活動団体の認定等の取消)
第36条 市長は、緑のまちづくり活動団体が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、その認定又は承認を取り消すことができる。
(1) 偽りその他不正な手段により認定又は承認を受けたとき。
(2) 認定若しくは承認に付けた条件又は第34条第 2 項の規定により締結した協定に違反したとき。
(3) その他緑のまちづくり活動団体として適当でなくなったとき。
(表彰)
第37条 市長は、緑のまちづくり活動に顕著な功績があった団体又は個人を表彰することができる。


第 2 節 緑地管理機構

第38条 法第68条第 1 項の規定により指定された緑地管理機構は、法第70条に規定する業務のほか、法第69条第 2 号から第 5 号までに規定する緑地の保全及び緑化の推進に関する業務についても、市との密接な連携に努めなければならない。

第 3 節 緑化基金

第39条 市は、緑あふれるまちづくりの推進を図るため、財団法人名古屋市みどりの協会に設置する緑化基金の積立ての財源に充てることを目的として、寄附を受けることができる。

第7章 緑の審議会

第 7 章 緑の審議会

(緑の審議会)
第40条 緑の保全及び創出に関する重要事項について調査審議するため、市長の附属機関として、名古屋市緑の審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(組織)
第41条 審議会は、委員及び専門委員をもって組織する。
2  委員は、20名以内とし、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 緑の保全及び創出に関し学識経験を有する者
(2) 緑のまちづくり活動団体の代表者
(3) 関係行政機関の職員
(4) 前各号の者のほか、市長が必要と認める者
3  特別の事項を調査審議するため必要がある場合には、その調査審議事項ごとに 5 人以内の専門委員を置くものとし、調査審議事項を明記して市長が委嘱する。
(任期)
第42条 委員の任期は 2 年とし、補欠の委員の任期は前任者の残存期間とする。ただし、再任されることができる。
2  専門委員は、その調査審議事項の調査審議が終了したときに解嘱されるものとする。
(委任)
第43条 前 3 条に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

第8章 雑則

(緑の調査)
第44条 市長は、緑のまちづくり施策を策定するため、規則で定める期間ごとに本市域内における緑の現況に関する調査を行い、その結果を公表するものとする。
(立入調査)
第45条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、関係人に対し、必要な報告を求め、又は資料を提出させることができる。
2  市長は、この条例の施行に必要な限度において、当該職員に、必要と認める場所に立ち入り、必要な帳簿書類、施設その他の物件を調査させることができる。
3  前項の規定により立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
4  第 2 項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(委任)
第46条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

第9章 罰則

第47条 次の各号のいずれかに該当する者は、 2 万円以下の過料に処する。
(1) 第11条各号に掲げる行為をした者
(2) 第14条の規定による命令に違反した者

附則

(施行期日)
1  この条例の施行期日は、規則で定める。
(市民の健康と安全を確保する環境の保全に関する条例の一部改正)
2  市民の健康と安全を確保する環境の保全に関する条例(平成15年名古屋市条例第15号。以下「環境保全条例」という。)の一部を次のように改正する。
第 5 条第 3 項を削る。
(経過措置)
3  この条例の施行前にこの条例による改正前の名古屋市緑化推進条例(以下「旧条例」という。)の規定によりされた処分その他の行為又はこの条例の施行の際現に旧条例の規定によりされている届出その他の手続は、それぞれこの条例の相当の規定によりされたものとみなす。
4  この条例の施行の際現に策定されている緑の保全及び創出に関する市の基本計画であって、緑の保全及び創出に関する施策を総合的かつ計画的に実施するためのものは、第 7 条第 1 項の規定により策定された緑の基本計画とみなす。
5  この条例の施行の際現に附則第 2 項の規定による改正前の環境保全条例第5 条第 3 項の規定によりされている緑化に係る手続は、第25条の規定によりされているものとみなす。
6  この条例の施行の際現に市長の承認を得て市の管理する公園、街路樹等を愛護する活動を行っている団体は、当該承認に係る期間内は、第33条第 1 項の規定による認定を受けたものとみなす。